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2015年01月07日

第12回 ナイトトレインで蒸気夜景を撮る

第12回 ナイトトレインで蒸気夜景を撮る

 静岡県中部を走るローカル線の大井川鐵道。
 この路線では、毎冬「静岡おでんと熱燗列車」と並んで、もうひとつ、蒸気ファンにはたまらない企画列車「新春恒例 SLナイトトレイン」が走ります。
 大井川鐵道の特選ツアーページの案内(こちら)に「蒸気機関車ファンの皆様、大変お待たせいたしました・・・」と熱い書き出しで始まるこの列車は、夜間に蒸気機関車牽引の列車を運行し撮影会を行なうイベントです。
 今回は、ナイトトレインのアウトラインとこれまでのナイトトレインを振り返りながら、蒸気夜景の撮影についてまとめてみたいと思います。

>「第18回 SLナイトトレインで蒸機夜景を撮る 2016年改訂版」はこちら

|SLナイトトレイン(2015年)のアウトライン

 2015年のナイトトレイン開催は2回。1回目は1月24日(土)、2回目は2月21日(土)で、いずれも事前予約が必要です。16:25頃に新金谷駅を出発、夕暮れを千頭目指して走ります。千頭駅到着後は、構内でライトアップされた転車台で牽引機撮影会を行い、21:10頃に新金谷駅に戻ってきます。車内ではお楽しみ抽選会が開催され、夕食は車内での駅弁です。これは、撮影会色の濃いイベントだけにロケ弁と呼んで良さそうです。

 さて、今年のトピックですが、1月24日の列車は千頭駅からの帰路で、バック運転の蒸気機関車の次位に展望車を連結する予定です。展望車のデッキと蒸気機関車の前部が向かい合うため、シリンダー周辺の音を収録するのに適した企画編成となり、撮り鉄だけでなく録り鉄、動画組にも期待が高まります。
 また、2月21日のナイトトレインは、荷客合造車のオハニ36が連結されます。
 こちらは、客車の半分が荷物車となっていますが、普段は見ることができない荷物室も見学できます。オハニ36を夜間に見学(撮影)が出来ることは非常に珍しく、どのような質感で撮影できるのか楽しみです。
 なお、参加者には2014年春に引退した京阪3000系の模型(トミーテック製)がプレゼントされます。
≫第10回 鉄道模型で楽しむ大井川鐵道

|あると便利な撮影機材

第12回 ナイトトレインで蒸気夜景を撮る

 千頭駅到着後は点呼を行い、撮影の班分けを行ってヘルメットを受け取ります。撮影会では線路上に立たせてもらえるのですが、そのための安全対策です。

 さて、ナイトトレインの撮影で必要なものですが、ますは、足元を照らすランプ。
 構内はライトアップされているものの足元は暗いためバラスト(線路上の砂利)や枕木、レールで転倒しないためにも、またカメラバッグの中身を確認するためにも、小さなランプを持参すると便利です。この時にランプに赤い布やシートを貼っておくと眼の負担を軽減できます。

 また、この時期の夜の千頭は気温が氷点下になることもありますので防寒対策が必要です。気温が下がるとカメラのバッテリーは性能が出なくなる場合もありますので、予備の充電池があった方が安心です。予備電池はポケットに入れて温めておき、場合によって交換して使用します。

 最後に三脚ですが、蒸気を長時間露光で流して撮影する場合は必須です。
 今回の作例のうち、蒸気が流れている写真はシャッターを開けっ放しにする長時間露光で撮影しています。長時間露光の際は、ケーブルスイッチ、リモコン、カメラの機種によっては2秒セルフタイマーなどを用いてカメラぶれを防ぐ工夫があると確実です。


|ライトアップされた転車台

 千頭駅の転車台は人力で回転させるものです。冒頭の動画は2011年のものですが、この日はC11 190号機が充当されました。転車台で転回するあいだヒューン、ヒューンと呼吸をしているような音が聞こえます。
 これは、コンプレッサーの作動音でブレーキを動かすために使われる圧縮空気を作り出す音。C11 190号機は大井川鐵道の蒸気機関車の中で作動音がもっとも上品な響きです。
 このときは、駅周辺のクルマの音もほとんどなく、神秘的ですらありました。




|転車台でコンプレッサーの排気筒、蒸気発電機、ドレインからの蒸気を狙う

 冒頭の写真は2013年のナイトトレインからC10 8号機です。写真の右側で吹き上げている蒸気はコンプレッサーから排気されたもの。運転席上部からの蒸気は蒸気発電機からのものです。いずれも、車体の奥にライトアップ用の照明があたる位置にカメラをセットし、機関車ではなく蒸気を撮影するつもりでアングルを決めるとこのような写真が撮影できます。運良くこの日は月明かりが強く空のトーンも写し撮ることが出来ました。
 光の当たった蒸気は思いのほか明るくカメラのヒストグラム表示機能などを利用して露出オーバーに気をつけながら撮影をするのがコツです。

第12回 ナイトトレインで蒸気夜景を撮る

 こちらは、2011年のC11 190号機です。光線状態に注意しながら、車体前部のシリンダーケース下のドレインから蒸気があがったタイミングで撮影しました。実は車体の前方には多くの参加者がいるのですが、ドレインからの蒸気で上手く隠れてくれています。
 なお、ドレインとは停車中にシリンダーにたまった水を外に吹き飛ばす操作の事で発車時によく目にするシーンです。撮影会ではここ数年、毎年機関士さんが撮影のためにこのような操作をしてくださっています。

第12回 ナイトトレインで蒸気夜景を撮る

 再び2013年のC10 8号機の第一動輪です。ライトアップのお陰でメカニカルな質感描写が可能となります。黄金色に撮影するため、ホワイトバランスを太陽光に近い4950K程度に調整しています。動輪の光り方はライトアップの照明、機関車、カメラの位置関係で変わりますので立ち位置を変えながら好みの作画をすると良さそうです。

|千頭駅構内側線で蒸気機関車全景を撮影する

第12回 ナイトトレインで蒸気夜景を撮る

 転車台での撮影会の後、機関車は側線に移動します。
 この写真は2014年のものですが、8秒露光しました。蒸気が翼のように写っています。
 蒸気の流れ方は毎回異なるため、時間の限り撮影してみることをオススメします。

第12回 ナイトトレインで蒸気夜景を撮る

 また、同じタイミングで今度は機関車の後ろ側に回り込んでみました。この年は重連走行を行なったため、C11190号機とC10 8号機の競演が実現しています。


|超高感度で手持ち撮影に挑戦

 最後は2011年のC11 190号機が転車台から移動するシーンです。
 カメラのISO感度を12500まであげて、シャッター速度を1/125秒として手持ち撮影しました。
 ドレイン、煙突からの蒸気が車体を包み隠しながらも尾灯が印象的です。
 フィルム撮影では実現できなかったであろう情景です。

第12回 ナイトトレインで蒸気夜景を撮る

 「SLナイトトレイン」は、まるで生き物のようだと形容される蒸気機関車の撮影を鉄道会社が全面的にバックアップする貴重な機会です。それだけに内容も濃く、撮影時間はあっという間に過ぎていきます。
 同道の参加者と譲り合いながら、イメージが上手く定着できるよう撮影できれば最高ですね!

◆大井川鐵道 SLナイトトレイン◆ ※乗車には予約が必要です
予約受付開始/2015年1月8日~
特選ツアーの詳細、予約情報はこちら


>「第18回 SLナイトトレインで蒸機夜景を撮る 2016年改訂版」はこちら

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Posted by 日刊いーしず at 14:59

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