静岡の地元情報が集まる口コミサイト:eしずおか

eしずおかトップ > 日刊いーしずトップ > ファインダーの向こうから  > 第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方

2015年02月13日

第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方

|RAW撮影に挑戦してみよう!

第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方
RAW撮影後に現像処理をした写真

第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方
カメラの設定のみで撮影した写真

 2015年3月に行われる、大井川鐵道の重連運転。2014年のナイトトレイン(コラムはこちら)以来となり、およそ1年ぶりの運転です。

 貴重な重連運転の写真をより良く残すために、今日はRAW撮影をご紹介したいと思います。
 使用カメラはCanon EOS 5D、使用ソフトはAdobe Photoshop CS6 付属のCameraRawを使用しています。今回の説明ではCamera Rawを使用していますが、Adobe Lightroomやカメラ付属のRAW現像ソフトでも同様の機能が用意されています。

 RAWとはローフードなどの言葉と同じ「生」の意味があり、撮影時にカメラが捉えた光(情報)をほぼそのまま記録したデータです。
 JPEG形式で撮影するデータは、撮影時に色温度や露出、コントラスト、データ上の発色特性が固定され、撮影後に調整できることが限られます。
 これに対し、RAWデータはフィルム写真で言う「ネガ」に近く、暗室内でプリントを仕上げるのと同様、手作業で写真画像を作り出すためのデータ形式と呼べるでしょう。

|RAW撮影の実際

 RAWデータによる撮影はJPEG撮影と同様でOKですが、蒸気機関車撮影で気をつけたいところは、露出(※1)過多による煙部分の白とび(※2)です。

 沿線の千頭行き列車の撮影スポットは列車の背景が明るくなる場所が多く、黒い機関車をオートで撮影すると車体は明るく写り、白く吐き出された煙は真っ白にとんでしまう事があります。

 これはカメラが機関車を「黒い」のではなく「暗い」と判断した時に起こるのですが、これを防ぐためには、列車が来る直前の露出でテスト撮影を行い、問題がなければそのときの露出よりもわずかに暗めに(※3)写るように撮影すると煙部分が白とびしないRAWデータを得ることができます。
 なお、この場合は露出の設定値が固定できるマニュアルモードで撮影を行います。

※1  露出・・・カメラに取り込む光の量、シャッタースピードと絞り、感度の組み合わせのこと
※2  白とび・・・明るい部分のデータが記録されていない状態。反対に、暗い部分のデータが記録できないことを「黒つぶれ」という。録音でいうところの音割れに近い状態
※3  暗めに撮影するには、シャッタースピードを速くする、絞りを絞る、感度を下げるといった方法がある

|撮影後にRAWデータを観察してみる

第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方
Adobe photoshop CS6 付属のCamera Raw

 上のスクリーンショットは千頭駅で撮影した重連運転後の機関車を開放したときの画像をCamera Rawで開いたもの。まずパネル右上のヒストグラムを確認します。

第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方

 ヒストグラムは画像内の明るさの量をグラフにしたもの。グラフの右側から左側へ行くに従って、明るい(ハイライト)部分から暗い(シャドウ)部分のデータ量を表示しています。
 グラフによるとこの画像は暗い部分が多いことがわかります。これは画面の大半を黒い蒸気機関車やホームの人影が占めているからだといえます。

 また、グラフの右側を見ると白とびしている部分があることもわかります。この白とびはヘッドランプの部分で高輝度な部分、つまり、とんでいることで明るさが表現できている部分といえます。

|RAW現像の実際/ハイライト、シャドウのコントロールで煙の質感を出す

第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方

 この画像の中で気になるのは明るい部分(ハイライト)の調子です。調子とは階調再現の状態を指す言葉ですが、基本補正タブのハイライトを下げていくと画面内の明るい部分の質感を調整することができます。この画像では、ハイライトタブをマイナスに振ることによって、C11 227の蒸気発電機からの煙の階調とC11 190の煙の階調を表現してみました。

|補正ブラシで、ディティールをアップさせたい箇所をコントロールする

第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方

 補正ブラシを使って、さらに各部の調子をコントロールします。補正ブラシを使うと特定の場所のコントラストやハイライト部分、シャドウ部分の調子をはじめ色味などを含めて細かくコントロールできます。
 この画像に対しては、2両の機関車の煙部分の調子と、ディティールが見えづらくなっているC11 227の先頭部分を少し明るく補正してみました。

 ホワイトバランスを含めた調整画像を比較してみるとその差は大きく、撮影意図を明確にした画像を作ることができるでしょう。




同じカテゴリー(大井川鐵道)の記事画像
第19回 スハフ43 ~鉄道模型初心者のための大井川鐵道~
第18回 SLナイトトレインで蒸機夜景を撮る 2016年改訂版
第17回 大井川鐵道沿線でポートレートを撮る
第16回 大井川鐵道 桜撮影のアングル
第15回 花と緑の田野口駅を楽しもう!
第13回 2015年のトーマス号と、重連運転の話題

Posted by 日刊いーしず at 10:31

日刊いーしず コラム一覧

このページの上へ▲

削除
第14回 列車写真の綺麗な仕上げ方
    コメント(0)